そして別れは告げられる。

アイツが死ぬなら水葬がお似合いだと、俺は夢の中で苦笑する。睡蓮の花と同じ名を持つ男は、きっと生きていた時と同じく、来世も自然に触れ合う人生に違いない。

膝まで泥水に浸かりながら、アイツの身体を仰向けにして浮かべる。周囲に睡蓮らしい植物はあったが、どれもまだ蕾だ。男の髪の淡桃色だけが、咲ききった。人生を、生ききった。馬鹿馬鹿しいと、俺は鼻で笑ってやる。

その瞬間、ボコリ、と濁った水音を立てて、男の抜け殻が沈んでいく。膝までしかない水深のはずなのに、男は、俺の手に届かない場所まで去っていく。

「あばよ」

思わず出た一言は、かなしいのか、おこっているのか。どこか震えた音になっていて。ざわざわ騒ぐ心の音をかき消すように、俺は激しく水音を立ててそこから逃げた。
泥で汚れた足元に、服にへばりついた花の色に。自分もまた、自然を愛した男とのつながりが確かにあったのだと気づいて。熱くなった目頭に、歯を食いしばった。