ぼくはガラスのバラになりたい

8.

「よかったの。これからは、フェンネルのガラスのバラがずっと傍にいる。めでたしめでたしじゃ」

二人から離れて、家に戻ろうとしたぼくの傍らに、何故かおせっかいな顔をした鳥がいた。

「おぬしもよく頑張ったなあ。あのオニオンとやらに手伝うようお願いしたんじゃろ?」
「ぼくは、何も出来ていないっす」

頑張っていたのは、彼女だけだ。
天使さまのガラスのバラになった、彼女だけだ。

「それでも、この結末はおぬしが頑張ったからじゃ」
「どうしてっすか? ぼくのことを、見ていたわけじゃないっすよね?」
「おぬしが、泣いているからじゃ」

気づかなかった。
確かに、ぼくは泣いている。
嬉しいからかな。せつないからかな。どうしてだろう。

「頑張ってきたから、涙がでるんじゃ。誰が見ていなくとも、おぬし自身が、ずっと見てきたからの」

そっか、がんばったからか。
何が報われたかは分からないけれど。
ぼくがやってきたことも、無駄じゃなかったのかな。

「ねえ、チューベローズ様」
「なんじゃ」
「ほんとうは、ぼくが、フェンネルさんのガラスのバラになりたかったんだ」

ぼくは、なれなかったけれども。
大好きな人の助けになる人を。支えていくことは、出来るはずだ。

チューベローズ様のやさしい頷きが、ぼくの涙をやわく溶かしていった。